令和03年02月19日
令和3年2月9日付課法2-6「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
インボイス制度導入に伴う消費税経理通達の改正
(1)インボイス制度の導入
令和5年10月1日からは、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)が導入され、インボイス制度の下では、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」等の保存が仕入税額控除の要件となる。
この仕入税額控除の対象となる課税仕入れに係る消費税額について、インボイス制度導入後においては、仕入税額控除の対象となる課税仕入れに係る消費税額は、適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に基づき計算した金額その他の政令で定めるところにより計算した金額とされ、免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者(免税事業者等)から行った課税仕入れ(古物営業を営む者が棚卸資産を取得する取引等を除く。)は、原則として仕入税額控除の適用を受けることができなくなる。
(2)仮払消費税等として計上する金額
免税事業者等から行った課税仕入れについて、インボイス制度導入後は、課税仕入れであっても適格請求書又は適格簡易請求書の保存がない場合には原則として仕入税額控除の適用を受けることができなくなるため、免税事業者等からの課税仕入れについて仕入税額控除の対象となる課税仕入れ等の税額はないこととなる。この点、法人税に関する法令では、税抜経理をした場合の仕入税額控除の対象となる課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額が仮払消費税等の額とされているので、免税事業者等からの課税仕入れについては仮払消費税等の額がないこととなる。
(3)見直しの必要性
インボイス制度導入後は、免税事業者等からの課税仕入れについて仕入税額控除の対象となる課税仕入れ等の税額がなく、取引の対価の額と区分される消費税等の額はない。他方で、システム対応や事務負担等の観点から免税事業者等からの課税
仕入れについてインボイス制度導入前どおりに仮払消費税等を計上する経理が行われることもありうるところである。
この点、消費税経理通達では、仮受消費税等の額から仮払消費税等の額を控除した金額と納付すべき消費税等の額との間に差額がある場合には、当該差額についてはその差額が生じた課税期間を含む事業年度の益金の額又は損金の額とする取扱いがあるため(経理通達6)、仮にインボイス制度導入前どおりに仮払消費税等を計上する経理が行われた場合には、その経理が行われた金額について納付すべき消費税等の額との間に差額が生じ、その経理が行われた金額はその事業年度の損金の額に算入されるのではないかとの疑義が生ずる。しかしながら、課税仕入れ等の税額がないのに仮払消費税等を計上する経理が行われるのは事実に即した経理処理ではない。このことから、法人税法施行令も免税事業者等からの課税仕入れについて控除対象外消費税額等が生じない構成となっており、これと同様に、これまでの消費税経理通達の取扱いを見直すこととし、免税事業者等からの課税仕入れについて、仮に仮払消費税等として経理をした金額があっても、その経理をした金額を取引の対価の額に算入して法人税の課税所得金額の計算を行うことを明らかにすることとした。具体的には、仮払消費税等の額とは、法令の規定により仕入税額控除の対象となる課税仕入れ等に係る消費税額等の合計額であることとし、これと異なる金額で経理をした場合には、その差額をその取引の対価の額に算入して法人税の課税所得金額の計算を行うこととした。
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