平成28年12月16日
固定資産の取得後に国庫補助金等を分割して受けた場合の圧縮記帳の取扱い及び国庫補助金等の範囲について
<事前照会の要旨>
当社(3月決算)は、倉庫業を営む法人であり、A県B市に土地を取得し、その土地の上に自社倉庫を建設している(平成29年3月末完成予定)。
当社は、本件倉庫における事業開始後、本件倉庫等の取得に要する経費の一部に充てるものとして、A県から補助金の交付を、また、B市から助成金の交付を受ける予定である。
本件補助金等は、本件倉庫等を取得した事業年度後の事業年度において、その交付決定及び交付額の確定がされるものであり、A県から交付される本件補助金は、交付決定等の通知を受けた後、5年間で分割交付され、B市から交付される本件助成金は、交付決定等の通知後、全額が一括で交付される。そして、本件補助金等の返還に関しては、一般的な条件が付されているのみですので、当該通知により、返還を要しないことが確定するものと考えている。
そこで、当社は、本件倉庫等について、法人税法第42条《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定による国庫補助金等の圧縮記帳の適用を受けることを考えている。
同条の規定による国庫補助金等の圧縮記帳は、その規定上、国庫補助金等の交付を受けた後に交付の目的に適合した固定資産を取得する場合が想定されているが、法人税基本通達10-2-2《固定資産の取得等の後に国庫補助金等を受けた場合の圧縮記帳》においては、目的資産を先行取得した場合にも、国庫補助金等の交付を受けた事業年度において法人税法第42条第1項の規定を適用することができるとされているので、当社のように、本件倉庫等を取得した事業年度後の事業年度において、本件補助金等の交付を受ける場合であっても、その交付を受けた事業年度において、同項の規定の適用を受けることができると考えるが、本件補助金等について、次の1及び2のとおり解して差し支えないか。
1同項は、国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるものの交付を受けた場合に適用できるが、B市から交付を受ける本件助成金は、「助成金」の名称ではあるものの、同項に規定する国庫補助金等に該当する。
2同項は、国庫補助金等の「交付を受けた事業年度」において適用できるが、本件補助金は、5年間で分割して支払を受けることとなるものの、その交付決定等の通知を受けた日の属する事業年度において、その全額が同項の規定による国庫補助金等の圧縮記帳の対象となる。
なお、本件補助金等は、「固定資産の取得又は改良に充てるため」の国庫補助金等に該当することを照会の前提とする。
<回答内容>
標題のことについては、照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない。
ただし、次のことを申し添える。
1.照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがある。
2.この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではない。
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